〈スキル〉の上に成り立つ〈テクニック〉

重ねた手のひらの上に幻想的な球
スキル(提供,photoAC)
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令和元年9月10日(火)。
夏休みの宿題として取り組んだ「科学研究」で,息子が「努力賞」を受賞。

翌9月11日(水)。
広国市民大学(広島国際大学1)東広島キャンパス(保健医療学部,総合リハビリテーション学部,医療福祉学部,心理学部)  広島県東広島市黒瀬学園台555-36)の「子ども未来コース(応用編)」の講座を受講。

両者に通底する概念は,〈スキル〉と〈テクニック〉でした。

 1 夏休みに取り組んだ「科学研究」

むすこ
むすこ

母ちゃん!! 僕,賞状をもらったんよ!!

学童2)「学童保育」のこと。「両親が勤めに出ている学童を、放課後、保護者に代わって保育すること。放課後児童クラブ・児童クラブなどともいう。」(コトバンク:学童保育(読み)がくどうほいく,デジタル大辞泉の解説,出典 小学館)に息子を迎えに行った際,息子が満面の笑みを浮かべ教えてくれました。全校朝礼で表彰していただいたようで,とても嬉しかったようです。

夏休みの宿題である「科学研究」で息子が努力賞を受賞
科学研究 努力賞

息子と一緒に取り組んだ科学研究は,ある出来事が契機となりました。

「ちょっとしたことからの発展」でした。息子の脳裡に「色と色とを混ぜるとどうなるのか?」という疑問が生まれたのです。そうならば,これを科学研究でやってみようと取り組むことにしたのです。

そして,研究を次のように進めていきました。

  1. 研究の「めあて」3)研究によって明らかにすること。研究の目的。と「理由」4)なぜ研究を行うのかということ。テーマ設定の理由。を「はっきり」させて,研究主題を考える
    この研究を行うに当たり,「めあて」と「理由」を確認し,研究主題(タイトル)を考えました。
  2. 色の基本知識を知る
    まず,「色と色とを混ぜる」という作業をする前に,「色」について調べました。 光と絵の具で三原色に違いがあることを知りました。
  3. 色と色とを混ぜてできる色を調べる
    絵の具の中から好きな色を2色選び,その色と色とを混ぜてどのような色になるのか16パターン調べました。
  4. 色の「濃さ」について調べる
    白色と赤色を用いて,混ぜる色の配分による「濃さ」の変化について調べました。白色に少しずつ赤色を足していき,どのような変化が起こるか実験してみました。
  5. 結論,感想,課題を記入し,レポートを作成する
    最後に,総まとめとして実験を行ってみて,どのような結果が現れたのか,実験について感じたこと,新たに取り組みたいことなどを考え,記述しました。
  6. 研究結果を日常生活に取り入れる
    色と色とを混ぜてできた「色」を使い,色水を作りました。それを部屋に飾るとどうなるのか? 部屋そのものが明るくなり,また,家族みんなの気持ちも明るくなりました。
  7. レポートの表紙を作る
    研究主題に見合った表紙を作りました。

この科学研究は息子だけではなく,娘も一緒になって行いました。家族のコミュニケーションを活性化させる意味において,みんなで一つのことを楽しく取り組める環境が大切だと思ったからです。

むすめ
むすめ

私も~!!


と娘もやる気満々で取り組みました。

小学2年生の息子が夏休みに取り組んだ科学研究
夏休みの科学研究
さよこ
さよこ
選ぶ色が…。これは,改善しなくては…。
(研究中,息子が選ぶ色を見て,息子の心理状態を分析していました。)
小学2年生の息子が夏休みに取り組んだ科学研究
夏休みの科学研究 表紙

今回の研究は,息子と「これどう?」「あれどう?」と思いつきや考えをお互いに話し合いながら行いました。ただ,本ブログを書く段になって,「〈研究〉として成り立っているのだろうか?」との疑念を強く抱くようになったのです。そこで,ネット検索を行った結果,「科学研究の進め方」(広島県立教育センター)という資料に出会ったのです。

科学研究の進め方を記した資料
科学研究の進め方(広島県立教育センター,一部抜粋)

この資料を拝見し,息子の科学研究の進め方は,ほぼ合っていたのだと自信を持ちました。息子は人生で初めて科学研究に取り組んだので,私のサポートが必要でした。私自身,科学研究は苦手な方なのですが,なぜ自然と研究の進め方が成り立っていたのかといえば,小学生時代に科学研究に取り組んだ失敗と成功の経験及びこれまで生きてきた人生の中で取り入れた知識,そして,最近学んだ「心理学の研究方法」などが私の中にあったからなのです。

つまり,「スキル(私自身が小学生時代に科学研究に取り組んだ経験及びこれまで生きてきた人生の中で取り入れた知識によって培われた能力)」によって「テクニック(心理学の研究方法)」の向上につながっていたのだと思います。

息子の「やってみたい!!」という意欲や好奇心(非認知能力)を高めるために,私ができたことは「スキルによってブラッシュアップされたテクニック」によるサポートでした。

 2 コミュニケーションに必要なものは「スキル」

先日,受講した広国市民大学(広島国際大学)の「子ども未来コース(応用編)」の講座。この日のテーマは「演習形式で学ぶ児童期にある子どもの“成長”を促すコミュニケーション」でした。

広島国際大学が主催する「広国市民大学」の講座
広国市民大学 「子ども未来コース(応用編)」の講座資料
(広島国際大学 研究支援・社会連携センター 吉川眞)

共感的反応を踏まえた対話の練習を行い,コミュニケーションスキルとコミュニケーションテクニックとの違いを実感した2時間。

講座では,スクリーンに映し出される表記された文字を追いながら相手の発言のどこに注目したら良いのかを考えることができます。しかし,現実に行うコミュニケーションでは,相手の発する音声言語を傾聴5)「もともとカウンセリングにおけるコミュニケーション技能の1つ。傾聴の目的は相手を理解することにある。それにより、話し手が自分自身に対する理解を深め、建設的な行動がとれるようになるようサポートする。 傾聴で大切なのは次の3つとされる。 ・言葉以外の行動に注意を向け、理解する(姿勢、しぐさ、表情、声の調子など)。 ・言葉によるメッセージに最後まで耳を傾け、理解する。 ・言葉の背後にある感情も受け止め、共感を示す。」(コトバンク:傾聴(読み)けいちょう,ナビゲート ビジネス基本用語集の解説,出典 ナビゲート)し,瞬時に「注目すべきところはここだ!!」と判断しなければなりません。

瞬時に判断することができるようになるには,「スキル」を磨く必要があります。「テクニック」を知っていれば良いというものではありません。

さらに,「テクニック」に縛られたコミュニケーションでは,心を感じることができません。なぜならば,「テクニック」という型に嵌めただけのやり取りでは,相手を理解しようとする思いや姿勢を汲み取ることができないからです。たとえ「○○」という「テクニック」を知っていたとしても,それは一般的な基準となる「技術」であって,人それぞれに合った,「個」へ向き合うための理解や姿勢にならないのです。

「「テクニック」とは「マニュアル通りにする技術」」。こんなものに頼らないでください。」
「大切なのは「身につけた「テクニック」を,一人一人の相手,様々な状況に応じて加工したり修正したりして使い分けることが出来る能力」=「スキル」です。」

教授はこのようにおっしゃられて,講座を締めくくられました。

広島国際大学で開催されている「広国市民大学」の講座
広国市民大学(広島国際大学)の講義室

 3 「スキル」と「テクニック」の違い

抑々,「スキル」と「テクニック」の違いとは何でしょうか?

スキル
  1. 訓練や経験などによって身につけた技能。ある人が有している力量や技術。腕前。熟練。
  2. 状況判断のもとで能力が発揮されるもの、どのような状況下であっても汎用的に効果をもたらすことがでる。
  3. 習得するのに時間がかかるが、一度習得すると体で覚えているのでなかなか忘れない。
テクニック
  1. 技術。技巧。テクニーク。


  2. ある決まった状況下において、極めて即効性のある効果を発揮できる。

  3. 覚えてしまえばすぐに使えるものが多いが、使っていないとすぐに忘れる。

参考:① :三省堂 大辞林 第三版
   ②,③,④:学生のための仕事能力開発マガジン,デキルニン

私はメンタルケア心理士®(心理カウンセラー)の資格を取得しています。しかし,この資格があるからといって「私はカウンセラーだ!!」と威張ったことはありません。

メンタルケア心理士®の資格取得に伴って勉強した内容は,次のとおりです。

メンタルケア心理士®のテキスト3冊
メンタルケア心理士®のテキスト
  • カウンセリング基本技法
  • 精神医科学(精神医学)基礎
  • 精神解剖生理学基礎

それぞれの3つのテキストの表題にあるように,「基本」「基礎」を学んだだけなのです。いわゆる,「テクニック(技術)」を取り入れただけなのです。6)「「基本・基礎」=「テクニック」」と述べているのではありません。飽くまでも,現段階の私が習得したレベルは「テクニック」であったということです。これだけでカウンセリングができるとは到底思っていません。なぜならば,「心」は容易いものではないからです。

私が勉強を続けている中で,とても共感できるものがありました。それは,放送大学教養学部の授業科目に出演されていた情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センターの宮内哲さんのお話でした。

「心理学で扱っている「心」の問題は,言い換えれば「心と脳」の問題であり,今後は,心と脳の両方を計測することが重要です。心理学科は文系の大学に多いが,例えば「脳」を扱うとなると「生理学」「医学」「数学」「電子工学」「コンピュータのプログラム」など,いろいろな知識が必要となります。文系あるいは理系といった枠にとらわれず,自分が知りたいことや理解したいこと,それに必要な知識は貪欲に吸収してもらいたい。」

「スキル」が向上するにしたがって,自然と「テクニック」も上達します。また,「テクニック」に関していえば,信念は昔のままでも時代の変化と共に発展しているものが多いと感じています。良いものは残し,改善すべきところは改善を重ね,「テクニック」も進化しているのです。「学び続けること」は大切なことなのです。

だからといって,むやみやたらに何でも学べば良いのかといえば,それは違います。世の中には,間違った知識や情報を主観で当たり前のように曝け出しているもの/人もあり/います。そこに気づくか気づかないかは,自らが〈学問〉に精通してこそ,はっきりと分かるものなのです。つまり,誤った情報を鵜呑みにせず,的確に「誤り」と判断できる一側面を取り上げても,結局,〈学問(学び続けること)〉は大切だと言えるのですが…。

私が学んでいる学問の分野は幅広く,心理学だけに及びません。どのような分野からでも対応できる〈生きて働く知識(スキル)〉がなければ,眼前にいらっしゃるクライアント様や受講者様,そして,こどもたち一人一人に合った適切な対応はできないのです。

夏休みに取り組んだ息子の科学研究では,「どのようにサポートすれば,息子が主体となって取り組むことができるのか」に重点を置きました。「テクニック」のみのサポートならば,淡々と済ませることができます。しかし,そこに〈学びの楽しさ〉があるでしょうか? 〈次につながる学び〉はあるのでしょうか?

そして何よりも〈親子のコミュニケーション〉が図れるのでしょうか?

「テクニック」だけに溺れてはいけません!!
そのような自分に酔ってはいけません!!

仮想的有能感7)「他者の能力を低く見ることで自己評価を吊り上げ、一時的で無意識的な自尊感情を高める習慣的な感覚」(速水敏彦 名古屋大学大学院教育学研究科教授) 参考:日本の家庭教育で何がおきているのか? ~その変化と課題を追う~,子どもの教育を考える,ベネッセ教育総合研究所を持ち,自分に酔って人と接していれば,自分の存在を証明してくれる相手の存在は消滅します。人を対象にする仕事であるならば,このような驕り高ぶった心理的感情は払拭し,常に相手を〈思いやる〉ことを忘れないで欲しいと願います。

現に,相手の存在があるからこそ,自己が存在するのです。私の場合,母親でいられるのは子どもたちがいるからであり,カウンセラーでいられるのはクライアント様がいらっしゃるからです。さらに,私という存在があるのは,両親の存在があるからです。

〈テクニック〉に溺れることのないようにするためには,〈スキル〉を養いましょう。常に目の前に存在する他者をしっかりと見てください。しっかりと受け止め,受け入れてください。その他者のために何ができるのかを考えてください。

その先にあるのは,みんなの〈笑顔〉です。

©2019 Sayoko Sumimoto

References   [ + ]

1. 東広島キャンパス(保健医療学部,総合リハビリテーション学部,医療福祉学部,心理学部)  広島県東広島市黒瀬学園台555-36
2. 「学童保育」のこと。「両親が勤めに出ている学童を、放課後、保護者に代わって保育すること。放課後児童クラブ・児童クラブなどともいう。」(コトバンク:学童保育(読み)がくどうほいく,デジタル大辞泉の解説,出典 小学館)
3. 研究によって明らかにすること。研究の目的。
4. なぜ研究を行うのかということ。テーマ設定の理由。
5. 「もともとカウンセリングにおけるコミュニケーション技能の1つ。傾聴の目的は相手を理解することにある。それにより、話し手が自分自身に対する理解を深め、建設的な行動がとれるようになるようサポートする。 傾聴で大切なのは次の3つとされる。 ・言葉以外の行動に注意を向け、理解する(姿勢、しぐさ、表情、声の調子など)。 ・言葉によるメッセージに最後まで耳を傾け、理解する。 ・言葉の背後にある感情も受け止め、共感を示す。」(コトバンク:傾聴(読み)けいちょう,ナビゲート ビジネス基本用語集の解説,出典 ナビゲート)
6. 「「基本・基礎」=「テクニック」」と述べているのではありません。飽くまでも,現段階の私が習得したレベルは「テクニック」であったということです。
7. 「他者の能力を低く見ることで自己評価を吊り上げ、一時的で無意識的な自尊感情を高める習慣的な感覚」(速水敏彦 名古屋大学大学院教育学研究科教授) 参考:日本の家庭教育で何がおきているのか? ~その変化と課題を追う~,子どもの教育を考える,ベネッセ教育総合研究所

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